社員旅行は時代遅れなのか、まだ必要なのかで迷って検索した方は多いと思います。実際、社員旅行に行きたくない、いらないと感じる人は少なくありませんし、若手ほど強制の空気やパワハラの不安を気にしやすい印象があります。一方で、メリットを感じる人や、廃止まではしなくても福利厚生として見直したい会社があるのも事実です。
私もこのテーマは、単純に古い悪習と切り捨てるより、なぜそう見られるのかを整理したうえで、今の働き方に合う形へ変えられるかを見るのが大事かなと思っています。この記事では、社員旅行が時代遅れと言われる理由から、法的に気をつけたい点、ワーケーションのような新しい選択肢まで、わかりやすく整理していきます。
- 社員旅行が時代遅れと言われる背景
- 若手や参加者が負担を感じやすい理由
- 強制参加やハラスメントで注意したい点
- 今どきの福利厚生や代替案の考え方
社員旅行が時代遅れな理由

ここでは、なぜ今の時代に社員旅行が古く見られやすいのかを整理します。感情論だけでなく、働き方の変化、世代差、法律や心理的負担まで含めて見ていくと、単に好き嫌いでは片づけにくいことがわかります。
社員旅行に行きたくない声
まず大前提として、社員旅行に対して前向きではない人はかなりいます。ここで大事なのは、旅行そのものが嫌いなのではなく、社員旅行という形式に抵抗を感じている人が多いという点です。個人旅行なら楽しめる人でも、会社のイベントになると急に気が重くなるのは珍しくありません。なぜなら、自分で行き先を選べない、過ごし方を決めにくい、気を遣う相手が多い、断りづらいといった要素が一気に重なるからです。旅行が好きかどうかよりも、自由がどれだけあるかが満足度を大きく左右するのだと思います。
特に最近は、社員旅行に対して「親睦」という前向きなイメージより、「休日まで仕事の延長が続くもの」という受け止め方が強くなっています。これは少し冷たい話に聞こえるかもしれませんが、私はむしろ自然な変化かなと思います。今は普段の働き方自体が多様で、職場の人との距離感も人それぞれです。だからこそ、全員が同じ熱量で楽しめる前提を置くのが難しくなっています。
また、検索行動にも本音が出やすいです。社員旅行に行きたくない、断りたい、いらないといった言葉が並ぶのは、参加の仕方ではなく、回避や対応を先に考えている人が多いからです。実際、和の旅路でも社員旅行に行きたくない理由と対策をまとめた記事を読まれる方が多く、楽しみ方よりも悩みのほうが先に立っている印象があります。こうした空気を見ずに「昔は盛り上がったから今回も大丈夫」と考えると、かなりズレやすいです。
私は、社員旅行の評価が下がった一番の理由は、イベントそのものの魅力不足というより、参加者の気持ちを想像しない運営が積み重なったことにあると思っています。会社側が善意で企画していても、受け手が負担を強く感じるなら、その時点で見直しが必要です。嫌がる人の声を「最近の若い人は」と片づけず、なぜそう感じるのかを丁寧に見ることが、今の時代ではかなり大切ですね。
社員旅行が嫌われる理由は、旅行そのものが嫌いというより、会社の人間関係が休日まで延長されることにあります。ここを見誤ると、会社側と参加者側で認識のズレが広がりやすいです。
若手が嫌がる本当の背景
若手が社員旅行を嫌がるのは、単に協調性がないからではありません。ここを誤解すると、世代間の溝がさらに深くなってしまいます。今の若い世代は、仕事と私生活をきっちり分けたい感覚を持っている人が多く、会社の人と長時間一緒に過ごすこと自体が負担になりやすいです。しかもそれが、気軽なランチや短時間の交流ではなく、丸一日や一泊二日で続くとなれば、気を張る時間も長くなります。
たとえば、上司や先輩への気遣い、宴会中の立ち回り、会話を切らさない努力、同部屋になったときのプライバシーの問題などは、若手にとってかなり重いテーマです。本人に悪気がなくても、常に評価されているように感じてしまう場では休まりません。私はこの「休めないのに旅行の形をしている」というズレが、若手にとって社員旅行が古く見える大きな理由だと思っています。
さらに、今は終身雇用や会社中心の人生設計を当たり前としない人が増えています。だからこそ、昔のように「会社のために少し我慢するのが普通」という価値観が通じにくいです。若手ほど、自分の時間、自分の友人関係、自分の趣味にしっかり意味を感じています。その中で、目的が見えにくい会社イベントに休日を使うことに納得しにくいのは当然かなと思います。
若手が重視しやすいのは納得感
ポイントは、若手がイベント自体を頭ごなしに否定しているわけではないことです。内容に明確な価値があれば参加する人もいます。たとえば、体験型で学びがある、行き先が魅力的、自由行動が多い、参加不参加が本当に自由、短時間で終わるといった条件なら、受け止め方はかなり変わります。つまり嫌われているのは、交流そのものではなく、説明不足のまま負担だけが大きい運営です。
| 若手が負担に感じやすい点 | 感じやすい本音 | 会社側が見直したい視点 |
|---|---|---|
| 上司への気遣い | 仕事外でも気を抜けない | 上下関係が濃すぎない設計にする |
| 休日の消化 | 自分の予定を優先したい | 平日開催や短時間開催を検討する |
| 同部屋や宴会 | 距離感が近すぎて疲れる | 個室や自由参加の選択肢を作る |
| 目的の曖昧さ | なぜ参加するのかわからない | 慰安か研修かを事前に明確にする |
このあたりを丁寧に見直さないまま「最近の若手はノリが悪い」で済ませると、社員旅行だけでなく職場全体の信頼感まで落ちやすいです。私は、若手が嫌がる背景を知ることは、単にイベントを成功させるためだけでなく、今の会社が何を大事にしているかを映す鏡にもなると思っています。
ストレスが増える原因
社員旅行がしんどいと言われる原因は、移動や宿泊そのものより、逃げ場の少なさにあることが多いです。バス、食事、宴会、宿泊と、ほぼ一日中同じメンバーで過ごす形になると、気の合う人ばかりではない職場ではどうしても消耗しやすくなります。これが飲み会よりも重く感じられる理由です。短時間の会食なら何とかやり過ごせても、旅行は区切りが少ないので、苦手な空気に長く身を置くことになります。

また、社員旅行は「楽しいはず」という前提が強いぶん、しんどさを口にしにくいのも厄介です。疲れている、気まずい、ひとりになりたいと感じても、それを表に出しにくいとストレスはさらにたまります。私は、この楽しむことまで求められる圧もかなり大きいと思っています。行事として参加するだけでなく、場を壊さないよう明るく振る舞うことまで期待されると、内向的な人ほど消耗しやすいです。
さらに、準備や移動の負担も軽く見られがちです。早朝集合、長時間移動、慣れない寝具、共同入浴、夜更かし、翌日の体力低下など、旅行には思っている以上に体力がいります。普段から忙しい人や、家庭と仕事を両立している人にとっては、その前後も含めてかなり重いです。単に一泊二日と考えるのではなく、前後の準備や回復まで含めた負担を見る必要があります。
旅行好きでも社員旅行は別物になりやすい
ここは誤解されやすいですが、旅行が好きな人でも社員旅行が苦手なことは普通にあります。個人旅行の魅力は、自分で選べること、疲れたら休めること、見たい場所に時間を使えることにあります。ところが社員旅行では、スケジュールも人間関係も自分の裁量が少なくなりがちです。和の旅路の旅行に興味が持てない理由を整理した記事でも触れていますが、旅行意欲は環境次第で大きく変わります。選べない旅行、気を遣う旅行、疲れる旅行は、好きな人にとっても別ジャンルなんですね。
社員旅行でストレスが強くなる人は、性格の問題と決めつけないほうがいいです。人間関係、家庭事情、体力、金銭感覚の違いが重なるので、負担の感じ方には個人差があります。外から見て平気そうでも、内心かなり無理をしている場合もあります。
だからこそ、社員旅行を考えるなら「盛り上がるか」より先に「安心して参加できるか」を見たほうがいいです。自由時間を増やす、宿泊を任意にする、少人数に分ける、移動時間を短くするなど、小さな調整でもストレスはかなり変わります。私は、社員旅行が時代遅れと言われる背景には、楽しさ不足だけでなく、しんどさへの想像力不足があったのだと思っています。
いらないと言われる事情
社員旅行がいらないと言われる背景には、会社側が期待する効果と、参加者が払うコストのズレがあります。会社としては親睦や一体感、モチベーション向上を期待していても、参加する側からすると、休日が減る、準備が面倒、気疲れする、場合によっては自己負担もあるといった現実が先に見えます。これでは「それなら別の形で還元してほしい」と思うのも自然です。私はこのズレが、社員旅行をめぐる議論の中心だと思っています。

また、今は旅行そのものの人気が落ちているわけではありません。個人のレジャーとしての旅行は今も需要がありますし、むしろ自分の好みに合わせた過ごし方をしたい人は多いです。つまり、旅行が嫌われているのではなく、会社が決めた旅行の形に納得しにくくなっているわけです。これはかなり重要で、社員旅行がいらないと言われたときに「若い人は旅行嫌いなんだ」と理解してしまうと本質を外します。
いらないと感じる理由には、お金の問題もあります。会社負担が大きい場合でも、現地での追加出費や服装の準備、子どもの預け先、家事の調整など、見えにくい負担が発生します。特に家庭を持つ人や介護を担う人にとっては、金額以上に段取りの負担が大きいです。表向きは無料に見えても、参加者側では無視できないコストが動いていることがあります。
いらないと言われるのは冷めた反応ではない
私は、「いらない」という声を冷たいものだとは思いません。むしろ、今の働き方や暮らし方に照らして、限られた時間とエネルギーをどう使いたいかがはっきりしている反応だと感じます。人によっては、旅行よりも手当、休暇、ランチ補助、自己啓発支援のほうがずっとありがたい場合もあります。福利厚生はあくまで従業員の満足や働きやすさにつながってこそ意味があるので、使われにくい施策に大きな予算を入れることが本当に良いのかは見直したいところです。
社員旅行がいらないと言われる理由は、楽しさがゼロだからではなく、負担に対して見返りが見合わないと感じられやすいからです。会社の善意と参加者の実感がズレると、不満が残りやすくなります。
だからこそ、今は実施するかやめるかだけでなく、目的に合った別の方法があるかまで含めて考える必要があります。社員旅行を残すにしても、これまでと同じ形を前提にしないことが大切ですね。
強制参加は違法になるか
ここはかなり慎重に見たいところです。社員旅行について調べていると「強制参加は違法ですか」と不安になる方が多いですが、実際には一律に白黒つけられる話ではありません。大きなポイントは、参加が本当に自由なのか、それとも実質的に断れないのかという点です。厚生労働省の労働時間に関する考え方では、労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間を指し、明示または黙示の指示で業務に従事する時間は労働時間に当たるとされています。
そのため、社員旅行であっても、参加しないと不利益がある、不参加では評価が下がる、幹事や運営担当として当然のように動かされる、実質的に断れない空気があるといった場合には、単なる自由参加のレクリエーションでは済まない可能性があります。ここは言葉のうえで「任意参加」と書いてあっても、現場の運用が伴っていなければ意味が薄いです。私は、こういうケースこそトラブルになりやすいと思っています。

法律や労務の話は断定しすぎないほうが安全ですが、少なくとも会社側は「親睦のためだから問題ない」と軽く考えないほうがいいです。参加の自由度、賃金の扱い、休日手当の要否、移動時間の扱い、事故やけがが起きた場合の対応など、確認しておくべき点は意外と多いです。特に、研修要素を含む場合や、明確な業務目的がある場合は、レクリエーションではなく業務寄りに見られる場面も出てきます。
社員旅行がすべて違法という意味ではありません。ただし、自由参加と言いながら実質強制になっているケースはトラブルの火種になりやすいです。現場の空気まで含めて「本当に自由か」を見ることが大切です。
会社が最低限意識したい確認ポイント
私なら、社員旅行を実施する前に次のような点を必ず見ます。参加は任意か、欠席理由の説明を求めすぎていないか、不参加で不利益が出ないか、業務命令のような案内になっていないか、幹事の負担は業務扱いとして整理されているか、といった部分です。これらは見逃されやすいですが、参加者の安心感に直結します。
| 確認したい項目 | 見落としやすい点 | トラブル予防の考え方 |
|---|---|---|
| 参加の自由 | 断りづらい雰囲気がある | 不参加でも不利益なしを明確にする |
| 時間の扱い | 移動や準備を曖昧にしてしまう | 必要に応じて労務担当と整理する |
| 幹事業務 | 善意の持ち出しにしやすい | 業務として負担を把握する |
| 評価との関係 | 協調性の名目で圧がかかる | 人事評価と切り離す |
(出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)
正確な情報は厚生労働省など公式サイトをご確認ください。最終的な判断は社労士や弁護士など専門家にご相談ください。 ここは会社ごとの運用で結論が変わりやすいので、ネット上の一言だけで判断しないほうが安心です。
メリットはまだあるのか
ここまで読むと、もう社員旅行は完全に不要なのではと思うかもしれません。ただ、メリットがゼロになったわけではありません。普段話さない部署同士がつながったり、雑談から仕事が進みやすくなったり、会社が日頃の労いを形にしたりと、うまく設計すれば一定の価値はあります。私は、社員旅行の価値は「やること」そのものではなく、普段生まれない接点をどう作るかにあると思っています。
たとえば、日常業務では関わりの少ない人と自然に会話できると、仕事で相談しやすくなることがあります。組織の中には、制度や会議だけでは縮まらない距離感がありますが、少し柔らかい場があることで関係が変わることもあります。また、会社からのねぎらいが見える形になることを好意的に受け取る人もいます。忙しい時期が続いたあとに、日常から少し離れて過ごせること自体に価値を感じる人は確かにいます。
ただし、そのメリットは昔ながらの宴会型をそのまま続ければ自然に生まれるものではありません。むしろ、設計を間違えると、親睦どころか不満を増やして逆効果になりがちです。私は、今の時代に社員旅行でメリットを出したいなら、自由参加・短時間・目的の明確化の3つはかなり重要だと思っています。慰安なのか、研修なのか、表彰なのか、チームビルディングなのかを曖昧にすると、参加者の期待値がバラバラになって満足度が下がりやすいです。
メリットが出やすい社員旅行の条件
個人的には、自由時間がしっかりある、行き先や内容に魅力がある、宿泊が必須ではない、飲酒に頼らない、参加しない人にも配慮があるといった条件がそろうと、かなり受け止められ方が変わると思います。逆に、全員一律、朝から晩まで団体行動、宴会中心、欠席しづらいとなると、メリットよりもしんどさが前面に出やすいです。
社員旅行のメリットは今でも残っていますが、それは設計が今の時代に合っている場合に限られます。昔の成功体験をそのまま持ち込むのではなく、参加者の納得感を中心に組み直す必要があります。
だから私は、社員旅行が必要かどうかを考えるとき、「昔からある福利厚生だから残す」ではなく、「今の社員にとって本当に価値がある形にできるか」で見るべきだと思います。それができるなら意味はありますし、できないなら別の施策に変えるほうが誠実ですね。
社員旅行は時代遅れでも必要か
ここからは、では結局どう変えればいいのかを考えていきます。廃止か存続かの二択ではなく、福利厚生やコミュニケーション施策として、今の時代に合う形へ調整できるかがポイントです。
廃止が進む企業の事情
社員旅行をやめる企業が出てくるのは、冷たいからではなく、単純に合わなくなってきたからだと思います。リモートワークやフレックスが広がり、家族構成や価値観も多様化した今、全員が同じ日程で同じ場所に集まるイベントは、以前より実施のハードルが高いです。家庭の事情を抱える人、休日をしっかり休みたい人、飲酒や宿泊が苦手な人など、配慮すべき点がかなり増えました。そう考えると、従来型の社員旅行が難しくなるのは自然な流れかなと思います。
さらに会社側にとっても、費用対効果を説明しづらい面があります。大きな予算をかけても満足度が割れるなら、もっと日常的で選べる福利厚生へ予算を回したほうが納得を得やすいです。旅費、宿泊費、交通費だけでなく、幹事の業務負担、調整コスト、参加率の低下、不満対応まで含めると、見えないコストはかなりあります。私は、企業が社員旅行を廃止するのはコスト削減だけではなく、限られた予算の使い道を見直している面も大きいと感じます。
また、組織の形そのものも変わっています。出社頻度が下がった会社では、対面交流の価値が高まる一方で、だからといって一泊二日の社員旅行が最適とは限りません。短時間で濃い接点を作る方法や、小規模で複数回の交流施策のほうが、むしろ参加しやすくて効果が出ることもあります。全員参加型の一大イベントより、分散型の交流施策のほうが今の職場には合いやすいんですね。
廃止はネガティブではなく再設計の一歩
社員旅行をなくすと福利厚生が弱く見えるのではと心配する会社もあるかもしれません。ただ私は、何をやめるかより、何に置き換えるかのほうが大事だと思っています。社員旅行が合わないなら、別の施策で満足度やつながりを作ればいいわけです。廃止はマイナスの決断というより、今の働き方に合う制度へ移るための整理とも言えます。
廃止を決める場合でも、理由の説明が雑だと不満が残りやすいです。長年楽しみにしていた社員もいるので、単なる削減ではなく見直しであることを丁寧に伝えると受け止められやすくなります。
つまり、廃止が進む背景には、人の価値観の変化、制度運用の難しさ、費用対効果の再評価が重なっています。これを知っておくと、社員旅行を続けるにしてもやめるにしても、判断軸がかなり整理しやすくなると思います。
代わりになる福利厚生
社員旅行の代わりとして相性がいいのは、参加の自由度が高く、日常的に使いやすい福利厚生です。たとえばランチ補助、少人数の懇親費補助、カフェテリアプラン、社内ポイント制度などは、社員旅行より拘束感が少なく、受け取る側の満足度も分散しにくいです。私も、全員同じ楽しみ方を前提にするより、それぞれが自分に合う形で使えるほうが今っぽいと感じます。
特にいいのは、短時間で終わる交流施策です。就業時間内の軽い懇親会や、部署横断のランチ補助なら、夜や休日をつぶさずに済みます。社員旅行が担っていた「交流」の役割を、もっと軽く、もっと頻度高く、小分けにして実現するイメージです。私は、交流は一回大きくやるより、無理のない形で何度かあるほうが結果的に関係づくりに効きやすいと思っています。
また、選べる福利厚生は不公平感を減らしやすいです。旅行に魅力を感じる人もいれば、食事補助、健康支援、学びの支援、趣味への補助をうれしく感じる人もいます。会社が一つの正解を押しつけるのではなく、複数の選択肢を用意することで、満足度のばらつきを抑えやすくなります。福利厚生は「平等に同じものを渡す」より、公平に選べる状態を作るほうが今はしっくりきます。

代替策を考えるときのコツ
代替策を考えるときは、何を置き換えたいのかをはっきりさせるのがコツです。親睦が目的ならランチ補助や懇親費補助、慰安が目的なら休暇制度や宿泊補助、学びが目的なら研修費やワーケーション支援といった具合に、目的ごとに手段を分けると設計しやすいです。社員旅行は多くの目的を一度に背負いがちですが、それがかえって曖昧さにつながることもあります。
代替案の考え方
| 施策 | 向いている目的 | 負担感 | 今どきの相性 |
|---|---|---|---|
| ランチ補助 | 部署間交流 | 低い | 高い |
| 懇親費補助 | 小規模な親睦 | 比較的低い | 高い |
| カフェテリアプラン | 個別満足の向上 | 低い | 高い |
| 社内ポイント制度 | 称賛文化の促進 | 低い | 高い |
| 社員旅行 | 非日常の共有 | 高くなりやすい | 設計次第 |
社員旅行をやめること自体が目的ではなく、社員が「会社からの配慮をちゃんと感じられるか」が大切です。その意味では、代わりになる福利厚生を丁寧に整えたほうが、結果としてエンゲージメントにつながることも十分あると思います。
ワーケーションという選択
今どきの代替案として注目されやすいのがワーケーションです。一般には、仕事と休暇を組み合わせた柔軟な働き方を指しますが、私はこれを単なる流行語としてではなく、社員旅行の欠点を見直した先にある選択肢として見るとわかりやすいと思っています。つまり、全員一律の団体旅行ではなく、仕事・学び・休息・地域体験などを組み合わせながら、参加者の自由度を上げていく考え方です。
ワーケーションの魅力は、旅行の非日常感を残しつつ、ただ遊ぶだけでも、ただ働くだけでもない中間の設計ができることです。たとえば、午前はチームミーティング、午後は個人作業や地域体験、夕方は自由時間といった形なら、拘束感を減らしながら接点も作れます。これなら「会社行事だから全部合わせる」ではなく、「共通の目的を持ちながら各自の時間も守る」という形にしやすいです。
ただ、ワーケーションなら何でも成功するわけではありません。通信環境、勤怠管理、情報セキュリティ、評価の公平性など、整えるべき条件がかなりあります。私は、ここを曖昧にしたまま導入すると、結局は別の不満が出やすいと思っています。場所だけ変えて働き方が変わらないなら、単に移動が増えただけになってしまうからです。
ワーケーションを機能させるための視点
制度として導入するなら、何のためにやるのかを明確にすることが大切です。親睦が目的なのか、学びが目的なのか、地域との交流が目的なのかで、内容はかなり変わります。また、参加できる職種とできない職種の差にも配慮が必要です。現場業務が中心の人だけ使えない制度だと、不公平感が生まれやすいです。だから私は、ワーケーションは華やかな言葉に飛びつくより、会社の実情に合った範囲で小さく試すほうが失敗しにくいと思っています。
ワーケーションは、社員旅行の完全な置き換えというより、自由度を高めた発展形として考えるとわかりやすいです。全員一斉ではなく、目的ごとに小規模で行うほうが相性が良い場合もあります。
結局のところ、ワーケーションが向いているのは、社員旅行の「非日常」だけを残しつつ、「強制」「画一性」「宴会依存」を減らしたい会社です。形だけまねるのではなく、参加者が本当に動きやすい設計にできるかが成功の分かれ目ですね。
パワハラを防ぐ対策
社員旅行を続けるなら、いちばん大事なのはハラスメント対策だと思います。お酌の強要、余興の押しつけ、部屋への呼び出し、飲酒の同調圧力などは、昔は流されがちでも今はかなり厳しく見られます。ここを軽く考えると、「親睦の場」のつもりが、参加者にとってはただの苦痛な場になってしまいます。私は、社員旅行が嫌われる理由の中でも、この見えにくい圧の存在はかなり大きいと感じます。
ハラスメントが起きやすいのは、業務時間外だから気が緩むというより、上下関係が残ったまま非公式の場に入るからです。職場の力関係がそのまま持ち込まれると、断りづらさや合わせなければいけない空気が強くなります。しかも旅行では逃げ場が少なく、席や部屋が固定されることもあるので、苦手な相手から距離を取りにくいです。だからこそ、一般的な飲み会以上に注意が必要だと思います。
対策としては、自由参加を明確にする、宿泊を必須にしない、飲酒前提にしない、個室または少なくともプライバシーに配慮した部屋割りにする、相談窓口を知らせておく、といった基本が重要です。加えて、上司側に「盛り上げるための圧」を出さない意識が欠かせません。本人が冗談のつもりでも、立場の差があると受け手は笑って流せないことがあります。
事前ルールを作るだけでも空気は変わる
私は、社員旅行に限らず、トラブルは曖昧さから起きやすいと思っています。ですので、飲酒の強制禁止、余興の任意参加、夜間の私的呼び出しを避ける、相談先の明示、体調不良時は遠慮なく離脱できるなど、事前ルールを共有するだけでもかなり違います。安全面や健康面も同じで、食物アレルギー、持病、妊娠、宗教上の配慮、介護事情など、見えにくい背景があることを前提に組み立てると無理が減ります。
健康面や安全面への配慮も忘れられません。持病、妊娠、介護、宗教上の理由、食事制限など、見えにくい事情があることも多いです。参加者が事情を言いやすい雰囲気を作ることが、形式的な注意喚起よりも大切な場合があります。最終的な運用は、社内規程や産業保健の担当者、必要に応じて専門家へ確認するのが安心です。
社員旅行は、企画が悪いというより、運営の細部で信頼を失いやすい行事です。だからこそ、ハラスメント対策は後付けではなく最初から組み込んでおく必要があります。参加者が安心して断れる空気、安心して参加できる配慮、この両方がそろって初めて、今の時代の社員旅行として成立するのだと思います。
社員旅行は時代遅れなのか
結論として、私の感覚では、社員旅行そのものが完全に時代遅れというより、昭和型の強制・画一・宴会中心のやり方が時代遅れなのだと思います。参加者の自由や事情を無視して「昔からやっているから続ける」という形なら、かなり厳しいです。一方で、自由参加、短時間、学びや体験の要素、選べる設計があるなら、今でも価値を持たせる余地はあります。つまり、古いのは存在ではなく運営思想なんですね。

ここまで見てきたように、社員旅行が嫌がられる理由には、若手の価値観だけでなく、労務管理の不安、プライバシーの問題、家族事情への配慮不足、費用対効果の疑問など、かなり現実的な背景があります。だから「時代遅れかどうか」を問うときは、イベント名だけを見ても答えは出ません。中身がどう設計されているかがすべてです。私は、社員旅行という言葉にこだわる必要はなく、組織のつながりをどう作るかという本来の目的に立ち返るのが大事だと思っています。
また、全員が同じ結論になる必要もありません。社員旅行が好きな人もいれば、苦手な人もいます。だからこそ、会社としては「好きな人も嫌な人もいる」という前提で制度を考えたほうが現実的です。全員を満足させることより、誰かに過度な負担を押しつけないことのほうが大切です。その意味では、自由参加にする、行き先や参加形態を選べるようにする、別の福利厚生も併設するなど、柔らかい設計が今の時代に合っています。
迷ったときに見直したい3つの軸
もし廃止か継続かで迷ったら、私は次の3つで考えるのがおすすめです。ひとつ目は目的が明確か、ふたつ目は参加者に選択肢があるか、みっつ目は負担に見合う価値があるかです。これがあいまいなままなら、続けても不満が残りやすいですし、逆にここが整理できていれば、社員旅行という名前でも別の制度でも形にしやすくなります。
社員旅行は時代遅れなのかという問いへの答えは、「やり方次第」です。古い慣習をそのまま続けるなら時代遅れになりやすいですが、個人の尊重と組織のつながりを両立できる形に変えられるなら、今でも意味はあります。
大事なのは、会社の都合ではなく、参加する人が「この時間を使ってよかった」と感じられるかどうかです。旅行市場自体は元気でも、社員旅行だけが敬遠されるのは、この納得感に差があるからだと思います。だから、廃止か継続かで迷ったら、まずは目的、参加方法、負担の大きさを見直してみるのがおすすめです。正確な制度設計や労務判断は公式サイトをご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。






